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VRは脳をどう変えるか? 仮想現実の心理学

VRは脳をどう変えるか? 仮想現実の心理学

ジェレミー・ベイレンソン/著 

 

今話題のVRについて多方面の応用について論じている。

Facebookは2014年3月25日、仮想現実技術の企業であるOculus VRを合計で約20億ドルの現金および株式で買収することで合意したと発表した。Oculusはヘッドセット「Oculus Rift」を開発している。このことが多方面に影響を与えている。

医療の現場では

・痛みから気をそらすVRディストラクションのメリットが知られている。実際に多数の人々がVR治療のメリットを享受するにはFDAの承認と保険の適用が必要である。VRは痛みをゼロにはできないが、痛みを和らげる便利なツールの一つになるだろう。

エンタテイメントの世界では

・友達同士でプレーヤー集団を作り、みんなでこの娯楽用仮想空間に入る。一人一人に違う役割を与える。スパイものでは、ウエイター、スパイ、ディーラーの補佐役を割り当てる。AIが操作する仮想人間が登場して物語が始まる。

 

著者等紹介

【ジェレミー・ベイレンソン】スタンフォード大学教授(心理学、コミュニケーション学)。同大学でバーチャル・ヒューマン・インタラクション研究所を設立し、所長を務める。ノースウェスタン大学で認知心理学の博士課程を修了。VR(バーチャル・リアリティ、仮想現実)研究の第一人者。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 

出版者  文藝春秋

出版年  2018.8

 

要旨   

VRを新しいゲームや映画の一種だと思っていると、未来を見誤る。このメディアはエンタテイメントだけでなく、医療、教育、スポーツの世界を一変させ、私たちの日常生活を全く新たな未来へと導いていく。その大変革を、心理学の視点から解き明かそう。現在のVRブームは、クラウドファンディングから始まった小さなVR機器メーカー「オキュラス社」をFacebookが巨額で買収したことから始まった。世界を驚かせたその買収劇のわずか数週間前、マーク・ザッカーバーグは本書の著者の研究室を訪れ、最新のVRを自ら体験していた。そこでザッカーバーグが味わった衝撃が、この本には詰まっている。

目次   

なぜフェイスブックはVRに賭けたのか?;一流はバーチャル空間で練習する;その没入感は脳を変える;人類は初めて新たな身体を手に入れる;消費活動の中心は仮想世界へ;二〇〇〇人のPTSD患者を救ったVRソフト;医療の現場が注目する“痛みからの解放”;アバターは人間関係をいかに変えるか?;映画とゲームを融合した新世代のエンタテイメント;バーチャル教室で子供は学ぶ;優れたVRコンテンツの三条件

内容   

VR内での体験を脳は「現実」として処理する。人類史上初めての刺激の数々に、我々の脳は対応できるのか。VR研究のトップがその衝撃の影響力を、数々の心理学実験で解き明かす。